お仏壇の横にある黒い箱は何?浄土真宗のお坊さんが読む「御勧章」とは#340

第340回目のラジオ配信。「お仏壇横の黒い箱」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

かっけい
かっけい

お仏壇の横にある、あの黒い箱。

浄土真宗のお坊さんがお経のあとに横を向いて読んでいるのは、いったい何なのでしょうか?

今日、小学生の女の子から「これって何?」「なんで読むの?」と聞かれました。確かに不思議ですよね。

今回は、あの黒い箱の中身とお坊さんが横を向いて読む理由について話しました。

内容まとめ
  • お仏壇の横にある黒い箱には何が入っている?
  • 真宗興正派では「御勧章」と呼ぶ蓮如上人のお手紙
  • 「御文章」「御文」など宗派によって呼び方が違う
  • なぜお坊さんは横を向いて読むの?
  • 御勧章はお坊さんだけでなく、誰が読んでもいい

かっけいの円龍寺ラジオ

これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。

今回は、お仏壇の横にある黒い箱についてお話ししていきます。

お坊さんがお仏壇でお経を読んだあとに、わざわざ体を横を向き直してその黒い箱を開けて、何やらパラパラと本をめくって、読み上げているものについてです。

「あの黒い箱はいったい何なのか?」ということをテーマにして話します。

というのも、今日のお参りで、小学生の女の子からいろいろ質問されたんですね。

「これって何?」

「何を言っているのかわからない」

「なんで読むの?」と。

いい質問ですよね。

大人になると、法事や祥月命日参りのときにお坊さんが何か読んでいても、「ああ、いつものやつね」くらいで、そのまま聞いていることも多いと思うんです。

でも小学生からすると、

「お仏壇の方を向いてお経を読んでいたのに、どうして今度は横を向いたの?」

「なんであの黒い箱を開けるの?」

「さっきまでと違う本を読んでるけど、あれは何?」

といろいろ疑問に思うわけです。

言われてみれば不思議ですよね。

ということで今回は、その女の子に説明するような感じでお話ししていきます。

まず、お仏壇の横に置いてある黒い箱についてです。

あの黒い箱の中には、和綴じの本が入っています。

お坊さんがお経を読み終わったあと、その箱を開けて、その本を取り出し、ページをパラパラとめくって読み始めます。

あの和綴じの本は、お経ではないんですね。

私のところ、真宗興正派では、「御勧章(ごかんしょう)」と呼んでいるものです。

本願寺の蓮如上人という、500年以上前の浄土真宗のお坊さんが書かれたお手紙です。

私の属する宗派では「人に勧めるお手紙」ということで、「御勧章」といいます。

ただ、ここは注意しておくことがあります。

私は「浄土真宗のお坊さんが、お経のあとに読むもの」と言いましたが、浄土真宗のお坊さんが全員、同じように蓮如上人のお手紙を読むわけではありません。

浄土真宗にはいくつもの宗派があります。

私のいる真宗興正派では蓮如上人のお手紙を拝読する習慣がありますが、蓮如上人のお手紙を拝読しない浄土真宗の宗派もあるでしょう。

ですから、「浄土真宗なら、どこのお寺でも必ず読むもの」でも、「浄土真宗のご門徒さんのお仏壇には必ず黒い箱が置かれている」ということではありません。

浄土真宗の中でも、蓮如上人と関わりの深い宗派では、蓮如上人のお手紙を読む習慣があります。

たとえば、東本願寺の真宗大谷派では「御文(おふみ)」。

西本願寺の浄土真宗本願寺派では「御文章(ごぶんしょう)」。

そして私の真宗興正派では「御勧章」。

呼び方は違いますが、蓮如上人が書かれたお手紙を、仏様の教えを聞かせていただく大切なものとして読んでいるんですね。

では、なぜお経を読んだ後、お参りの最後に読むのでしょうか。

そもそも蓮如上人という人は、今から500年以上前、室町時代の人です。

今とは全然違う時代ですよね。

スマホもテレビもありません。

そんな時代に蓮如上人が、お手紙をたくさん書いて、浄土真宗の教えを遠くの人まで広く伝えました。

そのお手紙には

「浄土真宗では何を大切にするのか」

「阿弥陀様とはどういう仏様なのか」

「お念仏を申すというのはどういうことなのか」

といった、浄土真宗の大切なことが書かれています。

ですから、法事でお経を読んだあとに、黒い箱から蓮如上人のお手紙を取り出しているのは、

「昔の浄土真宗のお坊さんが、私たちにどんなことを伝えているのか、聞いてみましょう」という感じで、お手紙を読むんですね。

ただし小学生の女の子からすると、

「何を言っているのかわからない」

となりますよね。

そりゃ、そうですよね。500年以上前の文章ですから。

今私たちが使っている言葉とは雰囲気が違いますし、漢字や昔の言葉も多いので、大人でも初めて読むと「これはどういう意味なんだろう?」となってしまいます。

なので、法事の席では、このお手紙を読む前に、お坊さんが先に皆さんに向かってお話をすることがあります。

私も法事では、「今日はこういうことをお話します」と、お話してから、そのあとで御勧章を読んでいます。

そうすると、

「さっきのお坊さんの話と、この文章はこういうところでつながっているんだなあ。似たようなお話をしているなあ。」

と、少しわかりやすくなるかもしれません。

もう一つ、今日の最初の疑問に戻りますね。

「なんでお坊さんは横を向くの?」についてです。

お経をお仏壇の方に向いて読んだように、このお手紙もお仏壇の方を見て読めばいいじゃないかと思いますよね。

あるいは、お参りの人たちの方を正面にして読めばいいとも思いますよね。

でもそうではなくて、なぜか横を向いて、蓮如上人のお手紙を読んでいます。

もちろんこれには意味があります。

これは、お坊さんがお参りの皆さんに向かって、

「私がお手紙の内容を教えてあげますよ」

という感じではないんですね。

お坊さんも一緒に、蓮如上人のお手紙を聞かせていただいているわけです。お坊さん自身も蓮如上人からのご法話として聞いているのです。

だからお坊さんも横を向いているんですね。

ところで、この御勧章・御文章・御文と呼ばれる蓮如上人のお手紙ですが、お仏壇横の黒い箱には、蓮如上人のお手紙が全部入っているわけではありません。

蓮如上人のお手紙は200通以上伝え残されています。。

その中から80通が選ばれて、五帖にまとめられています。5帖とは5つに分けた紙の冊子のことです。

ご門徒さんによっては五帖すべてがお仏壇横に置かれていることがありますし、五帖目だけ黒い箱に収めていることもあります。

お手紙の中で、よく知られているものとしては、

「末代無知章」

「信心獲得章」

「聖人一流章」

「白骨の章」

などがあります。

特に「それ、人間の浮生なる相をつらつら観ずるに・・・」という言葉で始まる「白骨の章」は、お葬式や一周忌までの法事などで聞いたことがある方も多いんじゃないかと思います。

こういうお手紙を、お仏壇のお参りのときに読むんですね。

そして、もう一つ大切なことがあります。

この黒い箱に入っている蓮如上人のお手紙は、お坊さんだけが読むものではありません。

お坊さんでなくても、誰が読んでもいいんですよ。

蓮如上人からのご法話としていただくものなので、お仏壇にお参りした時に、手を取って読んでいいんですよ。

「どれを読めばいいんですか?」

と聞かれることもありますが、まずは気になったものを読んでみたらいいと思います。

もちろん、それぞれのお手紙にはそれぞれの内容がありますから、

「このときには、このお手紙の内容がふさわしい」というものもあります。

でも、難しく考えなくてもいいと思います。

まずはとりあえず一つ読んでみてください。

「カタカナや漢字ばかりで、読みにくいなあ。何を言っているのか、よくわからんなあ」でもいいと思います。

まずは手に取って読んでみて、「これは何なんだろう?」「何が書いてあるんだろう」というところから、お仏壇のお参りに少し興味を持っていただけたらいいなあと思います。

そうやって、大人の方も子供の方も、今まで何となく見ていたものを、ちょっと気にしていただけたらと思います。

浄土真宗のお仏壇には、お鈴があったり、お経の本があったり、そして宗派によっては、こういう黒い箱に入ったお手紙が置いてあったりします。

一つ一つに、ちゃんと理由や意味があります。

「なんでこうするんだろう?」

「なんで横を向いているんだろう」

と考えてみると、仏様参りが、ちょっと気になってくるかもしれないですね。

今回は、「お坊さんがお経のあとに、横を向いて読んでいるものは何?」というお話でした。

今から500年以上昔の浄土真宗のお坊さん、本願寺の蓮如上人が書かれたお手紙が黒い箱の中に収められています。

蓮如上人からのご法話としていただいて、お坊さんもお参りの人と一緒に、そのお話を聞かせていただいているんですね。だから横を向いているのです。

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今回のお話に関連して、円龍寺では2021年にも「なぜ浄土真宗のお坊さんは、お経を読み終わったあとに横を向くのか」というテーマでお話ししています。

今回の記事では「横を向いて何を読んでいるのか」を中心にお話ししましたが、以前の記事では「なぜ横を向くのか」という点をもう少し詳しくお話ししています。

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