Podcast: Play in new window | Download
Subscribe: Apple Podcasts | Spotify | Amazon Music | Youtube Music
第345回目のラジオ配信。「台風や大雨のとき、お寺の法要に行くのか?」がテーマです。(BGM:音楽素材MusMus)

台風の日、お寺の法要に行きますか?それとも行きませんか?
お寺の法要は中止になりにくいです。でも外に出るのが危険なときに、無理してお参りする必要はあるのでしょうか?
今回は悪天候のときのお寺の法要について、実際の経験も交えてお話しします。
前回の「台風や大雨のとき、家での年忌法事はどうするのか?」のお話に関連した内容です。
かっけいの円龍寺ラジオ
これは香川県丸亀市にいる浄土真宗のお坊さん、私かっけいの音声配信です。
344回目となる前回は、台風や大雨、大雪など、悪天候のときの「年忌法事」についてお話ししました。
家で行う年忌法事で、道路の状況が悪く、お参りに来られる予定の人たちが集まるのが難しそうな場合、施主さんの判断で、法事を延期することができます。
では、もしそれがお寺で行う法要だったら、どうなるのでしょうか?
今回はそんなお話をしていきます。
例えば台風が近づいているとしますね。
今日は雨が激しく降って、大雨や暴風の警報が出ている。
そんな日に、お寺で法要が予定されていたとします。
さあ、皆さんだったら、
「お寺の法要に行きますか?それとも行くのをやめますか?」
お寺の法要は、台風が近づいていても、警報が出ていても、予定どおり行われることがあります。
というのも、お寺の法要は、かなり前から日程が決まっています。
例えば円龍寺では、夏から台風が近づくシーズンになりますが、毎年8月15日に納骨者追悼法要と盂蘭盆会、8月31日には灯籠流し法要、9月9日には秋の永代経法要を行っています。
また、私が所属している丸亀市仏教会では、毎年8月31日に土器川河川敷で灯籠流しをしています。
こうした日にちが決まっている仏教行事は、
「天気が悪そうだから、今日は中止にして、別の日に延期しましょう」
と、簡単に日にちを変えることができないんですね。
それは、何週間も、何か月も前から、
「この日に、この場所で法要があります」
と広く案内しているからです。
当然、お参りに来られる人たちも、その日に合わせて予定を空けています。
皆さん、「お寺はこの日に法要をするものだ」と考えて行動しています。
ですから、お寺としては、できるだけ予定どおり法要を勤めたいと思っています。
ただし、ここで注意点があります。
お寺が法要を中止しない。
でも、それは、
「中止しないから、皆さん必ずお参りに来てください」
と強制しているわけではありません。
お寺が法要を予定どおり行うからといって、
「台風でも、大雨でも、大雪でも、みんな頑張ってお参りに来てください」
という意味ではないんです。
例えば、
「道路が冠水している」
「橋が通行止めになっている」
「電車やバスが止まっている」
「外を歩くのが危険」
「車を運転するのが怖い」
こういう状況なら、無理してお寺に行かなくてもいいんです。
それでも、お寺では法要を予定どおり勤めることがあります。これは不思議な感じがしますよね。
警報が出るほどの悪天候なのに、どうしてお寺は法要を中止しないのか?
危ないなら、お寺の方で法要をするのを止めるべきではないのか?
そう思いますよね。
それは、至極もっともな話です。
ただ、お寺が法要を中止するというのは、実は簡単ではありません。
なぜなら、すでに多くの人たちに案内をしているからです。
お寺が法要の中止を決めたとしますね。
では、それをどうやってお参りの人たちに伝えたらいいのでしょうか?
電話番号などの連絡先を知っている人ばかりではありません。
そして、お寺の法要というのは、そのお寺のご門徒さん、檀家さんだけが来るとは限りません。
ご門徒さん・檀家さんでなくても、お寺の法要にお参りすることはできます。
私も他のお寺の法要に行きますと、円龍寺のご門徒さんが、そのお寺にお参りされているのを見かけることがあります。
つまり、お寺の法要には、直接連絡を受けていない人、そのお寺のご門徒さん・檀家さんでない人もお参りに来られるんですね。
お寺は、そういう人たちすべてに、
「今日、お寺の法要は中止になりました」
と伝えることはできません。
だから、お寺の独断で、
「今日はこんな悪天候なんだから、誰も来ないだろう」
と勝手に決めることもできないんですね。
例えば、私はこんな経験があります。
私のお寺では、毎年8月15日に盂蘭盆会と納骨者の追悼法要をしています。
以前、たまたま台風が直撃して、15日にお参りに来られるのは危ないだろうなあと判断したことがありました。
そこで、連絡がつく限りの方に、
「15日の法要は中止して、16日に延期します」
と伝えました。
実際、15日には警報が発令されました。
ところが、それでも15日にお参りに来られた方がいたんです。
お寺としては16日に延期すると伝えていました。
それでも、15日の悪天候の中でも来られる方がきっといるだろうと思って、本堂では法要の準備をしていました。
そして実際に来られた方と一緒に、15日の盂蘭盆会と追悼法要を勤めました。
どんなに天候が悪くても、お参りに来られる方はいらっしゃるんです。
だから、お寺の判断で、
「この状況なら誰もお寺には来ないだろう」
と決めつけてはいけないんですね。
お寺は、どなたがお参りに来てもいい場所です。
今日、法要があると信じている人がいるかもしれない。
そう思って、お寺は法要の準備をするんです。
ただし、
「お寺の法要は絶対に中止しない」
ということではありません。
そこは誤解しないでください。
危険な状況なら、中止・延期になることもあります。
特に屋外で行う行事は、天候の影響を大きく受けます。
例えば、丸亀市仏教会の灯籠流しでは、こんなことがありました。
2024年には台風10号の影響で、土器川河川敷での8月31日の灯籠流しは中止になりました。
私もその時、理事をしていたので、よく覚えています。
あのときは、数十年に一度クラスの猛烈な雨風になると、ニュースで繰り返し伝えられていました。
丸亀では8月31日に、花火大会やスポーツイベントなど、いろんな催しが予定されていましたが、安全面を考慮して、すべて中止になっていました。
それもあって、丸亀市仏教会も、お参りの人の安全を考慮して、土器川河川敷の灯籠流しを中止したんですね。
ところが、
「周りのいろんなイベントが中止になった。丸亀市仏教会の灯籠流しも中止になった。こんな状況で、お参りの人はいると思いますか?」
いるんですね。
中止になった土器川の灯籠流しですが、来られる人もきっといるだろうと思って、事務局長や会長さんは、土器川河川敷で待っていました。
お寺・お坊さんの判断で、
「お参りの人は誰も来ない」
と決めつけてはいけないんですね。
仏教行事は、
「毎年決まっている法要だから必ずやる」
「台風や大雨の警報が出たから必ず中止」
という、どちらか一方に決まる簡単な話ではないんです。
さて、今回のお話をまとめます。
お寺の法要は、かなり前から日にちが決まっています。
そして、ご門徒さん・檀家さんだけでなく、いろんな方がお参りに来られます。
だから、お寺としては、悪天候だからといって簡単に「誰も来ないだろう」と判断して、法要を中止することはできません。
実際に、どんなに天候が悪くても、お参りに来られる方はいらっしゃいます。
ただし、ここで大切なのは、
「お寺が法要をすること」と「自分がお参りに行くこと」は、別に考えていい
ということです。
お寺は、どんなに悪天候でも今日もお参りに来られる方がいるかもしれないと思って、法要の準備をします。
一方で、お参りする人は、自分の住んでいる場所の状況や、道路、交通機関、天候などを見て、
「今日は危ないから、やめておこう」
と判断してもいいんです。
仏事を大切にすることと、危険を冒してまでお参りすることは、同じではありません。
ですから、悪天候のときには、どうか無理をしないでください。
安全にお参りできるのであれば、どうぞお参りください。
そのとき、そのときの状況に合わせて、自分で判断していただければと思います。
ということで今回は、
「台風などの悪天候のとき、お寺の法要に行く?行かない? そして、お寺の法要はなぜ中止になりにくいのか」
というお話でした。



